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オトコによる化粧品学習(2)

化粧品技術者を経験したことのあるオトコが化粧料について語ります。化粧料は、広い意味では、医薬部外品も含みます。 

ここで熱く論じる化粧料は、基礎化粧料に絞ります。化粧水、乳液、美容液、クリームなど、皮膚に潤いを与え、清浄に保つことを目的とする化粧料です。化粧品技術者として化粧品を開発した経験がある「男性」が、化粧料を「理屈」を交えて語っていきます。

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オトコによる化粧品学習(1) - yugusuki’s blog(ゆぐすきブログ)

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オトコによる化粧品学習(2)<続き>

1.水(通常、潤いを与えるための主成分)

2.油(与えた潤いを皮膚に閉じ込めるための成分)

3.水溶性保湿成分(水分を抱え込んで皮膚上にとどまる成分)

 

1.水について

水が入っていない基礎化粧料は、まずありえません。言い換えますと、基礎化粧品には、必ず水が入っているといえます。水は、皮膚に潤いを与えるための主成分です。皮膚に水が与えられることによって、皮膚が潤います。言い換えますと、皮膚の乾燥を抑えるためには、皮膚に水分を与える必要があります。 

では、きれいな水を皮膚につけてやったら、それで化粧が終わってしまうのでは?という疑問が起こります。しかし、皮膚に水を与えただけでは、皮膚から水分が飛んでいってしまいます。ちょうど、水たまりの水が、いつのまにかなくなっているのと同じことです。つまり、皮膚に与えられた水(水分)は、いったん皮膚に入るものの、単にそのままでは、時間とともに、空気中へ蒸発してしまいます。

そこで、皮膚から水分を逃さないために、化粧料には、様々な成分が入っています。この役割を担うのが、例えば、油(油分)、また、水溶性保湿成分です。

 

ここで、疑問が出てきます。どの基礎化粧料にも水分が入っていて、しかも、水分を逃さないための成分も入っているのなら、1つの化粧料を使えば、それで済んでしまうのでは?という疑問です。 

しかし、ほとんどの場合、1ステップで化粧が終わる人はいません。例えば、化粧水で肌を整えて、、、乳液で油分を与えて、、、、美容液で小じわ対策をして、、、、といった具合です。一方で、「オールインワン」をキャッチフレーズにした美容ジェルなども、最近販売されています。

 

結局どうなの???

理屈だけ言ってしまえば、化粧水で水分を与えて、有効成分の入った乳液や美容液などで油分を補えば、それで十分です。しかし、そう簡単に話が完了しません。化粧という行為は、女性の「きれになりたい」という願望と密接に関わっている行為です。自分に対してのご褒美にもなり、気分転換にもなり、エネルギーを自分に注入する儀式にもなります。化粧という行為は、理屈だけ言ってしまえば、水と油と有効成分とで完結してしまいます。それで終わらないのが、化粧なのです。

価格、容器のデザイン、使用感、香り、、、、そういったものがすべて組み合わさって、自分に合った化粧品というものが成り立ちます。なかなか一般男性にはわかりづらいと思いますが、化粧品を開発して初めて、こんなことを実感いたしました。その後の人生にも大きく役立っています!!

2.油について

すでに述べましたように、油は、与えた水分を皮膚に閉じ込める役割を果たします。ただし、皮膚自体(皮膚の表面)にも若干、油性成分があります(皮脂などと称されます)。この皮脂の役割を補う役割も油が果たします。なお、化粧水には、油がほとんど配合されていない場合が多いです。 油分といってもその種類は、千差万別です。油性成分として植物油なども挙げられますが、皮脂とは異なるものです。

 

一例ですが、大きく分けると以下のような分類です。

(1)鉱物油

(2)天然油

(3)天然油に似た人工油

(4)シリコーン油などの人口油

 

(1)鉱物油

石油由来というイメージから、一般的には敬遠されがちです。しかし、化粧料に配合される鉱物油は、とことんまで精製されており、とことん精製されたものでしか化粧料に配合できないことが、法律(薬事法)で決められています。よって、安全性についてあまり心配する必要はありません。気になるのは、使用感とその機能です。

一般的に、鉱物油は、炭化水素といわれる油分です。この油は、水とは全く逆の性質を持っているため、まさに「油」という使用感になります。しかし、性能の点では、皮膚にある水分を十分に閉じ込めてしまう機能を果たします。よって、バリア性能という点では、優れています。乾燥がひどい肌にワセリンを塗ると効果的です。ワセリンも鉱物油の1種であり、バリア機能を十分に果たすため、一般的に使用されます。昔ながらのクリームが、すごい性能を持っていると話題になったのは、昔ながらの化粧料でありながら、ワセリンなどの鉱物油がたっぷり入っているので、バリア機能に優れていたからです。

よって、鉱物油だからといって敬遠するのは、必ずしも妥当ではありません。いかにも理系的な意見です。

 

(2)天然油

天然油としてよく目にするのは、植物油です。動物油もありますが、化粧料の配合成分としては、動物油はほとんど見かけません。植物油は、食用油として使っているものと、成分的にはよく似ています。しかし、それぞれの植物油に特有の使用感があります。植物油は、実は酸化しやすいものなので、酸化防止剤がないと、すぐに酸化してしまいます。植物油のイメージは良いのですが、扱いにくく、化粧品技術者としては、注意を要する成分です。とはいっても、ホホバオイルとか、ココナッツイオイルとか、効いてくれそうな期待感はあります。

 

(3)天然油に似た人工油

例えば、天然油を加工して原料を作り、さらに化学反応させて、植物油よりもさっぱりした感触がある油です。種類がたくさんあるので、上記のようなものに限られませんが、通常は酸化しにくい油なので、使いやすい油です。

 

(4)シリコーン油などの人口油

日焼け止め剤によく入っている油です。シリコーン系の油は、水とも通常の油ともなじみにくく、化粧品技術者としては、扱いにくい油です。しかし、撥水機能を持っているため、皮膚に塗った後に水をはじかせる等の目的のためには、なくてはならない成分です。最近、シャンプーで「ノンシリコン」をうたい文句にしているものがあります。シリコーン系の成分が入っていると、髪にサラサラ感を与えることができますが、最近は悪者扱いされています。基礎化粧品には、あまり使われていないと思いますが、さっぱり感を与えるために、少しだけ配合されることもあるようです。

 

以上のように、油について簡単にまとめてみました。種類の1つ1つについて説明していたら、かなり長くなるますので、とりあえずここで一区切り。

3.水溶性保湿成分について

このように記載すると、いったい何の成分なのかわからないかもしれません。簡単に言ってしまうと、水と油の中間的な成分です。水のような性質もあるけど、油のような性質もある、ということになります。具体的には、グリセリンなどが挙げられます。他にも、1,3-ブチレングリコールなど、見かけたことがあると思います。 

この成分を説明するには、少し科学的な知識が必要となります。水は、H2O(エイチツーオー)と書く、っていわれます。この分子構造は、H-O-Hです。このーOHという構造が、「水っぽい」部分です。一方、上記の水溶性保湿成分は、分子構造中に炭素(Cと書きます)を持っています。炭素(C)は、油にもたくさん含まれています。有機物は、炭素(C)を基本的な構造として持っています。

上記の水溶性保湿成分は、分子構造中に、水に似たーOHも持っているし、炭素(C)も持っています。よって、水のような効果を持ちつつ、油のような効果も持ちます。水ともなじみ、油ともなじむ、という言い方もできます。上記の水溶性保湿成分は、皮膚に塗布されると、水のように揮発することなく、皮膚上にとどまります。しかも、ーOHを持っているので、水のように皮膚へ潤いを与えることもできます。皮膚上に膜のようになって残るので、揮発しようとする水を皮膚上に留めることもできます。

 

化粧水は、水と、上記の水溶性保湿成分とで構成されている、といっても過言ではありません。必ずしもさっぱりした使用感ではありませんが、油のようなベタベタ感はなく、使用感にもかなり寄与する成分です。

小まとめ

水と、油と、水溶性保湿成分(水と油の中間成分)と、のバランスによって、使用感や効果がほぼ決まります。