天然物と人工物ならどちらが良さそうですか。
おそらく多くの人が「天然物」と言うでしょう。
自然物質と合成物質なら、どちらが安全そうですか。
おそらく多くの人が「自然物質」というでしょう。
この一般的イメージについては、総論賛成、各論反対です。
言い換えます。
まぁその通りと思いますが、そうとも言い切れないです。
例えば、「毒」について考えます。
兵器にも使われる毒は、毒性が高い必要があるため人工的に作った合成物質であり、人工物です。
しかし、蛇などが持っている神経毒はかなり強力ですが、自然物質であり天然物です。
さらに、「宝石」について考えます。
高価なのは天然石ですね。天然物です。
でも、例えば合成ダイヤモンド、合成ルビー、合成エメラルド、合成サファイアだってあるのです。
人工物だからといって、必ずしも粗悪とはいえません。天然物よりも優れている場合だってあります。
では、人工的に遺伝子を操作して作った穀物はどうでしょう。
イメージはあまりよくないですが、すでに人間が食べ始めてからかなりの年月が経ちます。
このように、天然物だから安全だとか、人工物だから質が悪いとか、決めてかかる必要はないのです。
人工物のほとんどは、天然物のいいところをまねして作った場合が多いと思えます。
「モノ」としては同じなのだけど、合成方法を工夫して安く作ることが可能になったと思えば、人類の知恵の結晶が人工物質といえるでしょう。
以前は、植物から抽出するしかなかった天然物質が、ほぼ同じものが人工的に作れるため、安く購入できるという例もあるのです。
ゴムなどはその代表例でしょう。ゴムの木の樹液からできたゴムの方が質が良いわけではありませんよね。
イメージは大切かもしれませんが、決めつけるのは危険です。
なにかレッテルをつけて物事を判断すると、わかりやすくて強い意志がはたらくのですが、間違っていたらとんでもないことになります。
少し考えてみることも必要です。
大統領を決めた国がよからぬ方向へ進まないように願います。