ヒトは、他人と関わり合わなければ生きていけない動物だそうです。
確かにそうのようです。
この1年以上にもわたる巣ごもり生活では、最初は人と会わずに心地よかったのですが、もうすでに限界です。
やっぱり、人は、どこかで人に頼って生きています。
職場の上司部下も、家庭内の夫婦も。
自分ひとりでなんでもかんでもできるという思い込みは、ほぼ勘違いでしょう。
例えば、上司と部下の関係。
部署全体で求められているタスクを部下のだれかが担当することになります。
(あくまでも男性脳の理屈ですが)基本的に、上司の指示には、部下は従います。
上司と部下の関係上、ある意味当然です。
しかし、例えばオーバーワーク気味で「無理!」と思うときもあるでしょう。
他に暇な部下がいるのに、テキパキとやってしまう部下に集中させてしまう場面もあるでしょう。
そんなとき、「無理」という思いを聞いてくれる上司もいれば、まったく聞く耳を持たない上司もいるでしょう。
ほんとは、上司が代わりに実行しようとしても、スキル不足で無理な場合だってあります。
自分ではできない仕事を部下がやってくれるのですから、上司の方から頼み込んでもよいかもしれません。
無理な仕事をなんとか実行してもらうので、実行した部下の評価をかなり上げてもよいハズです。
でも、仕事をやり抜いたからといって、給料が上がるわけでもなく、その成果が社長などに伝わるわけでもないのが普通です。
そんなモヤモヤした思いを積み重ねて仕事を続けると、いつか爆発しそうになります。
部下の経験をした人であれば、だれでもわかりますよね。
そんなモヤモヤが爆発するかどうかは、信頼関係があるかどうかで決まります。
不信感のある上司、例えば裏切られた思いのある上司に対しては、モヤモヤはいつか爆発します。
では、爆発しない場合はどんな場合でしょう。
まず、信頼関係があるのが大前提。
次に、ギブアンドテイクの関係になっているかどうかです。
日ごろ仕事面でフォローしてもらっている上司に対して、一回や二回のトラブルでキレてしまうことはありません。
そんな関係であれば、部下は、上司の指示に従って仕事を進めます。
ところが、共感力に乏しい上司もいます。
相手の立場になって考えられず、仕事を進めることだけしか考えられない上司もいます。
ひょっとして、部下が将棋のコマにしか見えていないのかもしれません。
そうなると、テイクされ続ける部下は、エネルギーを使い果たし、いつのまにか上司に対して敵意すら覚えてしまいます。
部下は、フリーライド(タダ乗り)されてしまっている感覚を覚えてしまうのです。
なにも、上司と部下だけの関係ではありません。
あらゆる人間関係について、常に意識しておかなければいけない点です。
ギブアンドテイクを意識するということは、常に、相手への感謝の気持ちを意識することにつながります。
「これだけのことを文句も言わずにやってもらっている」ということに気づけば、相手への感謝は、自然とわいてくるでしょう。
そうならば、相手に「ありがとう」の一言でも、自然と出てくるハズです。
自分の思い通りに「やってもらってあたりまえ」が習慣になってしまうと、相手への感謝を忘れてしまいます。
感謝する気持ちがあれば、相手との関係は、たとえ壊れてもやり直せます。
例外なのは、生まれながらにして共感力のない「特別な気質の人」。
人との関わり方を変えることができず、人間関係において何度もトラブルを繰り返します。
ちょっと違うな、と感じる上司、配偶者であれば、距離を置くという選択もありです。
ギブアンドテイクの精神は、日常の生活を円滑にしますが、テイクだけされ続けていると感じたときは、相手の「特別な気質」を疑ってもいいかもしれませんね。
ギブをいったんやめてしまうのも、相手の気持ちを確認する一つの手段です。