軽やかにカラダをあやつるスポーツ選手と、人を魅了する歌手や俳優とは、まったく分野が違うと考えます。
職業という切り口でいえば、その通り、まったく違う分野の人です。
しかし、よくよく考えると、この人たちは共通して「あるスキル」の点で優れているのです。
それは何かというと、自分のカラダ(の一部)を自由自在に操作できる、という点です。
スポーツ選手
自分のカラダを自由自在に動かして目的を達成します。
全身を動かしてボールや対戦相手を思い通りに動かせた方が勝ちです。
球技であれば、相手のいないところでボールを打ち込んで勝つのが、例えばテニス。
格闘技であれば、対戦相手を投げ飛ばして勝つのが、例えば柔道。
全身を使う場合が多いのがスポーツですが、スポーツのなかでも、アーチェリーなどはカラダの一部を使う傾向にあるかもしれません。
対戦相手やボールを動かすためには、まず、自分自身の筋肉をイメージ通りに動かす必要があります。
イメージ通りに動かせない場合に失敗するのですから、イメージ通りに動かせるまで練習をします。
練習では、思い通りになるまで微調整しながら、自分自身の筋肉と脳との間で相談します。
カラダの一部または全部を自分の思い通りに動かせるかどうか、常に微調整しているのが、普段の練習なのです。
歌手や俳優
スポーツ選手のような激しいカラダの動きはないかもしれません。
しかし、カラダの一部の筋肉を自由自裁に動かす練習を常に行っています。
うまい歌、うまい演技は、カラダの一部を自由自在に操れるかどうかにかかっています。
歌は、声帯筋をコントロールできるかで決まります。調べたところ、声帯筋は自分自身の意思では直接動かせない筋肉なのだそうです。
でも、その周辺の筋肉を駆使してコントロールできますよね。
また、演技は、(声帯筋も含め)表情筋をうまくコントロールできるかで決まります。
そのためには、目や耳の助けを借りながら、使う筋肉を自分自身で常に微調整するしかありません。
この微調整をうまくできる人が、上手な歌手、上手な俳優なのです。
最もわかりやすいダンス
スポーツ選手と、歌手や俳優と、まったく違う分野を比べてしまったのですが、最もわかりやすいのはダンスです。
常にイメージ通りにカラダを動かさなければ、ダンスは成り立ちません。
リズムに合わせて、あるテンポでカラダをあやつっていかなければなりません。
いわば「自分あやつり人形」です。
けっきょく共通している
スポーツで対戦相手を倒すとか、勉強で成績を上げるとか、歌を上手に歌うとか、結局のところは自分自身のカラダとの付き合い方なのですね。
トップレベルの人になるとメンタル的な要素もあるのですが、一般的な話では、スキルを付けるためのポイントは、自分自身のカラダのあやつり方なのです。
運動神経がないと嘆いている人も、音痴だと思っている人も、原因はそこにあると気づけば、対処法も見えてきます。
自分の姿を観察しながら、自分の意思とカラダの動きとのズレを微調整する。
自分の歌を聴きながら、お手本の歌と、自分の音程とのズレを微調整する。
スポーツであれば過去に録画した自分のプレイをあとで考察しながら微調整する。
現代は、録音機器や録画機器が個人で使える時代です。
昔であれば他人に見て聞いてもらうしかなかったのですが、今では自分自身でチェックできます。
自分で自覚できれば、あとは微調整しながらズレをなくしていけばよいのです。
高校生のとき、運動部に所属していたのですが、今のように簡単に録画できていれば、かなり上達も速かったのではないかと思うのです。
そういう意味では、スポーツの技がどんどん進化していってもおかしくないですね。