世界の国同士が争いあってしまう原因は、「オス」の脳かもしれません。
縄張り意識、力の誇示、競争心、どれもこれも野生動物の「オス」の行動に共通して見られます。
哺乳類も動物ですから、縄張り意識もあるでしょう、力を誇示したいでしょう、競争心だってあるでしょう。
だからこそエネルギーが沸いて、とんでもないことをやりとげてしまうのも事実です。
方向性を間違えなければ、ほおっておいたら競争しあって前へ進んでいくのですから、人類にとって「オス」の脳はきっと必要なのでしょう。
ところで、なんで「オス」ができたのか。
もともと自分自身が分裂して仲間を増やしていた、単なる細胞だったころの生物。
いや、今世の中を騒がしているウイルスだって、自分自身を分裂させてどんどん増えていきます。
それが、いつのころからか、あえてメスとオスを作った生物たち。
メスとオスが強くひかれあうので、繁殖をより強く進めるためではないか、と思いがちです。
でも、繁殖するためなら、自分自身で勝手に分裂していった方がはるかに速いはずです。
なんのため?
どうやら、「多様性」を追求するためのようです。
勝手に自分で増えていくウイルスでもあれだけ変異していくのに、メスの遺伝子とオスの遺伝子を混ぜたら、いったいどれだけの多様性を追求できるのでしょう。
メスとオスの遺伝子が混ざり合うと、どれだけ多様性が高まるかは、兄弟を見ていたら想像がつきます。
同じ2人の遺伝子が混ざってできているのに、外観や性格がまったく違う兄弟姉妹。
同じ2人の間でこれだけ多様性が出でくるのですから、その他の莫大なペアから生まれる子供の多様性ったら、想像をはるかに超えてきます。
「多様性」、「多様性」って決まり文句のように言いますが、実際のところ、生物は多様性を追求しているのです。
社会的側面や文化的な側面から「多様性」を考えるのも必要ですが、生物の遺伝子戦略を考えたたけでも、人間はそもそも「多様性」を追求しています。
同じ遺伝子でできあがっているのは、一卵性双生児くらいです。
このような遺伝子の戦略をいちど理解してしまうと、「多様性」なんてあたりまえに思えてきます。
オンリーワンなんていう言葉も、あたりまえに思えてきます。
逆に、オンリーワンな人間がナンバーワンを目指す理由を考えてしまいます。
ナンバーワンを目指したいオスの脳は、なにかとすぐに行動したがりです。
必要な行動も、どうでもいい行動も、どちらも起こしてしまいます。
行動しているうちに何か発見でもさせようとする遺伝子の魂胆(こんたん)は、「多様性」そのものなのでしょうか。